『夜明けの軋み』【書籍】

幻種と人間が暮らす町、時山の一年。これは、幻奏の夜明けの物語。

−−人や亜人の生気を吸って生きるヴァンパイア《理人/リヒト》。
彼はこれまでの130年、寄る辺なく幻界と人間界を転々としてきた。そして、ヴァンパイアとの共存について法的にも整備されつつある時山市へ移住。
「こうして、遠慮なく出歩きたかった。誰の邪魔もせずただ一緒にお祭り騒ぎがしたかった。そのためになら、毎日の食事などどんなにつまらなくても構わないのです」

−−理人と出逢った人間、《小夜子/さよこ》。
『小夜子は唇に力を入れて目を逸らすと、縁側の向こうを眺めた。
沈みかけた夕陽が、雪の街を赤く染めている。
「牙を抜かれ、首輪をつけられた日々が、本当の”幸せ”であると?」』

−−2人と時山の未来を見守る男、《橘/たちばな》。
「ここでトラブルが起きてみろ、理人とお前だけの問題じゃない、人界に来た幻族全体がそういう目で見られるんだぞ」
「……迷ったら相談してくれ。悪いようにはしない」

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作 燐果

書籍|A5 38ページ 500円 2018/05/06(日)発行 印刷:オレンジ工房

燐灯書庫BOOTH出張所